花柳 加代子の人事ファイル
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花柳 加代子(ね、眠い……。ダメ、今は仕事中…。……私、しっかりして……。………。……。)

氏名: 花柳 加代子(はなやぎ かよこ)

セキュリティクリアランスレベル: 3

役職: サイト-81██研究部 非実体研究グループ所属 上席研究員。霊体行動学研究室 室長。

職務: 霊的実体、人間、それらの関係性の行動学的解明。

プロフィール: 和装を好む長身の女性職員です。見かけによらず明るい性格で、上品な振る舞いと口調で堂々しているため、人を惹きつける人物です。第一印象は少しミステリアスですが、かなりマイペースなタイプであるため、全然そんな事ありません。静かに黙って憂いているような表情をしているならば、それは単純にボーっとしているか、眠気を我慢しているかのどちらかです。ただ、有事には強い意志を持った凛々しい一面も見せます。好きな花は藤で、彼女個人の研究室にゆらゆらと飾られています。

花柳博士は、先天的に霊的実体を視認できる特殊な知覚能力を持っています。木闇医師の作製したコンタクトレンズを着用しているため普段は分かりませんが、霊視をする際は黒目が真っ白に変化し、白目全体が真っ赤になるほど充血する事が分かっています。

財団が確認している霊的実体の行動特性、行動機能、そしてその制御を主体とした研究を行っている霊体行動学研究室の室長を務めています。研究対象のうち、人型の霊的実体には社会心理学・進化心理学・文化心理学・行動経済学・神経科学・比較認知科学などで生み出された理論と方法が応用できる場合も多く、人間・社会科学諸領域の出身者が多く所属しており、実験・調査・フィールドワーク・数理解析・シミュレーション・ゲーミング・観察など、様々な手法を用いて相互影響過程に関する先導的研究に取り組んでいます。

最近では、動物型の霊的実体の研究にも着手しており、動物の心理・認知・気質等により発現する行動特性と機能・コミュニケーションによる相互作用を科学的に考究しており、「伴侶動物だった霊的実体と飼い主の関係」などの論文も発表されています。

これは、科学的な研究に全く関係ない、私個人の思想です。……そうですね。まずは有名な話ですが、『スワンプマン』という思考実験を説明しましょうか。

ある男は、沼のそばで不運にも雷に打たれて死んでしまいます。その時、なんという偶然か、異常なプロセスを経て死んだ男と全く同一、同室形状の生成物を生み出してしまいます。この発生した新しい存在をスワンプマン(沼男)と言います。スワンプマンは原子レベルで、死ぬ直前の男と全く同一の構造を呈しており、見かけも全く同一です。知識も記憶も同一です。この時、死んだ男とスワンプマンは本当に同じ存在なのか…という思考実験ですね。これに答えなんて、ありません。ただ、もしかしたら今生きてる『あなた』も、気づかないに生まれた『全く同じ別の何か』な可能性だってあるわけです。どちらが『本物』なのかは誰にも、もちろん本人にもわかりません。

これは、霊的実体にも言えるのではないでしょうか?だって、死んだのに。記憶を引き継いでいようと、同じ見かけをしていようと、死んだのを自覚していようと。それは、生きていた頃の『あの人』ではない。……『別の何か』です。

勿論、これは私の直感で感じている事であり、事実とは異なるかもしれません。ただ、私はそれを念頭に入れて、研究を行っているという事だけは知っておいて欲しかったんです。悪意のある『別の何か』が、生者の感傷を利用してくるというのは、数多くのデータが証明している事ですから。 - 花柳博士

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今日も。私の足元には、子供の頃飼っていた猫が来ています。


車に轢かれた時、こぼれた腸を引きずってまで……。


とても嬉しいよ。コタロウ。




でも、あなたは本当に、私の知っているコタロウなの?

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